現在の仕事環境は急速に変化しており、新しいスキルの習得や既存のスキルのアップデートが求められるようになりました。
自分や従業員のキャリアを維持・発展させるためには「リスキリング」が大切であるという考え方が広がり、企業主導でリスキリングを始める事例も増えています。
今回は、実際にリスキリングを導入して成功した企業事例を紹介します。
成功のポイントや注意点にも触れるので、リスキリング制度の立案にお役立てください。
リスキリングの成功事例4選
早速、リスキリングの成功事例を紹介します。
- ダイキン工業株式会社|社内ユニバーシティの設立
- 株式会社日立製作所|デジタル人材の強化
- 西川コミュニケーションズ株式会社|3DCG学習の機会を提供
- 日本マイクロソフト株式会社|オンライン学習プラットフォームでリスキリング
自社でもヒントになりそうな事例があれば、積極的に参考にしてみましょう。
ダイキン工業株式会社|社内ユニバーシティの設立
ダイキン工業株式会社では、企業の成長と従業員のスキルアップを促進するために、社内ユニバーシティである「ダイキン情報技術大学」を設立しています。
社員が必要なスキルを体系的に学習する場として活用されており、リスキリングだけに集中できるのが特徴です。
受講者は2年間本業をせずリスキリングだけをすることができ、特にAIや機械学習など先端技術について学ぶときの助けとなりました。
カリキュラムは階層別に作成されているためスキル別にスモールステップで進みやすく、無理のない学習になっているのもポイントです。
結果、ダイキンでは開発期間の短縮・生産性向上・品質向上などの効果が得られ、リスキリングに成功した事例として注目を集めるようになりました。
参考:https://www.daikin.co.jp/tic/topics/feature/2024/20240131
株式会社日立製作所|デジタル人材の強化
株式会社日立製作所では、デジタル人材の強化を目的に、全従業員16万人にDX研修を開催しました。
新規事業でもあるDXサービス「Lumada」をけん引する人材の育成も兼ねており、社会への新たな価値提供に向けての取り組みであることもわかります。
「社会価値の創出を牽引する人財戦略」の一環であり、社運をかけた大規模なリスキリング施策になっているのがポイント。
人工知能(AI)を駆使した学習システムを搭載し、モチベーションや学習効果の可視化にもつなげました。
参考:https://www.hitachi-ac.co.jp/service/opcourse/subcate/dx/
西川コミュニケーションズ株式会社|3DCG学習の機会を提供
西川コミュニケーションズ株式会社では、3DCG学習の機会を提供するため、従業員の専門学校進学を後押ししています。
希望する社員に3ヶ月専門学校へ通うことを許可している他、通学費用の補助や日中の業務量調整なども積極的にしたことで、離職することなくリスキリングできるようになりました。
結果、新たに3DCGの部門が立ち上がるなど、デジタル分野の知見を活かした戦略が実現しています。
ITパスポートやG検定などDX資格の取得も推奨されているので、スキルアップが目に見えやすいというメリットも多いです。
参考:https://www.works-i.com/research/project/dx2021/real/detail008.html
日本マイクロソフト株式会社|オンライン学習プラットフォームでリスキリング
日本マイクロソフト株式会社では、オンライン学習プラットフォームを使ったリスキリングに着手しています。
法人向けオンラインコーチングサービス「学びのコーチ」を取り入れ、誰でも・いつでも・どこからでもリスキリングができる環境を整えました。
リスキリングへのハードルが下がったことで個々の興味・関心に合わせた無理のないリスキリングができるようになり、学習効果も高まっています。
なお、「学びのコーチ」はパーソルイノベーション株式会社が提供する学習プログラムであり、2社の協働で生まれたソリューションでもあります。
社外の力を借りてリスキリングしたいときの参考にしてみましょう。
参考:https://news.microsoft.com/ja-jp/2021/07/19/210719-microsoft-japan-parsol-innovation/
リスキリングを成功させるポイント
リスキリングを成功させるポイントは、以下の通りです。
以下で詳しく解説します。
自社に必要なリスキリングであること
リスキリングを実施する際は単にスキルアップを目指すのではなく、自社の目標やニーズに合ったリスキリングを行うことが重要です。
例えば、企業がデジタルトランスフォーメーションを進めている場合、ITやデータ分析のスキルが求められます。
反対に、AIや機械学習を活用した製品開発を進めるのであれば、その分野に特化したリスキリングプログラムが必要です。
「どんなスキルが必要か」「何を学べば自社の成長につながるか」を徹底的に考え、まずはリスキリングの分野を決めていきましょう。
方向性の異なるリスキリングをしても、実務に役立つとは限りません。
業務の内容や仕事の進め方が変化する中で、どのスキルが重要になるのかを見極めることがポイントです。
実務に即した学習プログラムが提供されていること
リスキリングの効果を最大限に引き出すためには、学んだスキルが実際の業務にどのように活かせるかを意識した、実務重視の学習プログラムが重要です。
理論や知識だけではなく、実務で使えるスキルを習得できるプログラムが提供されることで、学習した内容が実際の仕事に直結しやすくなります。
即戦力として活用できるリスキリングにしたいときこそ、「実務で通用するか」の視点を忘れないようにしましょう。
なかでも、実務を反映したプロジェクトベースの学習をすることや実務で使用するツールやソフトウェアの習得を目指すことは非常に有効です。
学びやすさに配慮されていること
リスキリングプログラムを成功させるためには、学習者がスムーズに学べるよう、環境を整える必要があります。
学習者のライフスタイルや仕事の忙しさに合わせて学習のペースを柔軟に調整できれば、継続的な学習も期待できるでしょう。
例えばオンデマンド形式での学習コンテンツを提供して自宅でリスキリングできるようにするなど、従業員のニーズに合ったやり方にするのがおすすめです。
その他、双方向型の学習にして興味・関心を刺激したり、受講者が質問や疑問をリアルタイムで解決できるオンラインチャットを導入したりする方法もあります。
学習の進捗が可視化されていると達成度を把握でき、モチベーションを維持しやすくなるのもポイントです。
リスキリングを実施する際の注意点
リスキリングを実施する際は、注意点もあるので以下をおさえておきましょう。
それぞれのリスクについて解説します。
モチベーションが下がると学習効率も下がる
従業員のモチベーションはリスキリングにおいて重要であり、モチベーションが低下すると学習効率が大きく下がります。
特に、リスキリングが自分にとってどれだけ意味があるのかが不明確だと、モチベーションは低下するので注意しましょう。
「リスキリングするとこんなメリットがある」「リスキリングは確実に自分のスキルアップ(またはキャリアアップ)につながる」という実感がないと、自発的な努力は期待できません。
リスキリングの内容が難しすぎると「できない」と感じ、簡単すぎると「意味がない」と感じてしまうことも多いので、難易度や学習ペースに対する配慮も必要です。
学習中に困ったときにすぐにサポートが得られるような体制を整えるなど工夫し、モチベーション維持を意識していきましょう。
目的や目標を明確にしないと方向性がブレる
リスキリングの目的や目標を明確にすることで学習の方向性が決まり、効果的な進捗が得られます。
反対に、目標が曖昧だと学習プログラムの内容や実施方法に一貫性がなくなり、期待する成果を得られないので注意しましょう。
学習プログラムが現実の業務や業界のニーズに合わなくなり、実際に役立たないスキルが身につくなど、方向性がブレてしまうことも多いです。
学習効果を高めるためにも、あらかじめゴールを決めておくことをおすすめします。
一度きりの学習で終わると定着しない
リスキリングやスキルアップのための学習が一度きりで終わると、知識として定着しなくなるので注意が必要です。
特に「リスキリング研修を開催すること」自体が目的にすりかわってしまった場合、実際の業務で活用できる状態にならず、コストばかり膨らんでしまいます。
短期間での繰り返し学習や、時間をおいて再度学習内容を振り返る機会を提供するなど、知識定着に向けた対策も用意しておきましょう。
また、実践が伴わないと定着しないのもポイントです。
知識やスキルを学んでも実際の業務に活かさなければ定着しないため、シミュレーションやケーススタディを活用して実践的なトレーニングにしていきましょう。
リスキリングの相談はショーケースキャピタルへ!
ショーケースキャピタルでは、資格取得を目標としたリスキリング教育を支援しています。
例えばショーケースキャピタルが提供する「DX人材育成研修プログラム」では、従業員育成とDX推進を同時に叶えられるのが特徴です。
「効果的なリスキリングのやり方がわからない」「同業他社がどのようなリスキリング事例で成功しているのか知りたい」などのご相談も可能なので、お気軽にお問い合わせください。