リスキリングとリカレント教育の違い
  • 公開:2024年10月31日
  • 更新:2024年11月14日

リスキリングとリカレント教育の違いは?それぞれのメリット・デメリット

リスキリングとリカレント教育はどちらも「学び直し」を意味する言葉ですが、実施主体・目的・学習内容に違いがあります。

リスキリングは特定の職業や業界の変化に対応するために新たなスキルを学ぶことを指します。主に転職やキャリアの変更に役立ちます。

一方、リカレント教育は人生を通じて学び続けることを重視する教育の枠組みで、職業スキルだけでなく幅広い知識や能力を習得することを目的としています。

本記事では、リスキリングとリカレント教育の違いについて解説します。

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それぞれのメリット・デメリットにも触れるので、どちらがよいか迷っているときのご参考としてお役立てください。

リスキリングとは

リスキリングとは
リスキリングとは、今までとは異なるスキルを習得して新しい業務・職種に就く手法です。

「Re(やり直し)」と「Skill(技術)」を掛け合わせて生まれた造語ですが、今や最新のトレンドやツールに適応する手法として確立しました。

既存のスキルや知識を新しいものに置き換えることがポイントで、例えば以下のようなケースが該当します。

  • Webデザイナーが全く別ジャンルであるプログラミングについて学ぶ
  • これまで使ってこなかった新しいプログラミング言語を習得する
  • AIやデータサイエンスを学んでビッグデータ解析ができるようになる

つまり、「今まで経験してこなかった新たな分野に挑戦する」「これまでの業務とは全く異なるスキルを学ぶ」という場合は、リスキリングに該当します。

リスキリングは「学び直し」と呼ばれることも多く、異職種への転職・異動の際にも役立ちます。

リカレント教育とは

リカレント教育とは、実務で役立つスキルを実務以外の場所で学ぶ教育手法です。

適切なタイミングで研修・教育を受け、適切なタイミングでまた実務に戻るサイクルを構築していきます。

これまでの経験に「+α」できる学びであるのがポイントで、例えば以下のようなケースが該当します。

  • 帳簿を紙管理からデジタル管理に切り替える研修を受ける
  • 英会話を初級から上級にステップアップさせて海外出張に対応する
  • 設計経験者が社会人入試制度を使って大学院に入り、改めて建築学を学ぶ

なお、リカレント教育は必要に応じて仕事と学習を交互に繰り返しながら実行するのが特徴で、個人のスキルアップ効果につながります。

リスキリングとリカレント教育の違い

リスキリングとリカレント教育の違い
リカレント教育とリスキリングの大きな違いは、「誰が主導するか」です。

リスキリングは、企業が主体となってDXやAIなど最先端技術を仕事と並行しながら学びます。

対してリカレント教育は、個人が主体となって自分の仕事に役立つスキルを仕事から離れて学び直す手法です。

リスキリングとリカレント教育の違いについて、以下の項目ごとに詳しく説明していきます。

  • 実施主体
  • 目的
  • 学習内容
  • 仕事から離れる必要性

実施主体

リスキリングは主に企業が従業員向けに提供するのに対し、リカレント教育は個人的に始めるものとされることが多いです。

例えば会社が開催する研修・トレーニングであればリスキリング、大学院進学や個人的な勉強であればリカレント教育、という位置づけになります。

もちろん個人的にリスキリングにチャレンジしたり、企業が積極的に大学院進学を後押しするなどフレキシブルな学びにすることも可能ですが、主な実施主体が分かれている点に注意が必要です。

目的

リスキリングの目的が最先端技術への対応や時代変化への適応にあるのに対し、リカレント教育の目的は自己のスキルアップにあります。

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時代の最新ニーズへの対応力を高めたいのであれば、リスキリングに重きを置くとよいでしょう。

反対に、個人的なスキルアップやキャリアアップを目的とするときは、リカレント教育が最適です。

学習内容

リスキリングで学ぶのは、AI・データサイエンス・データ分析などDXに関連したスキルになることが多いです。

その他、最新テクノロジーやクラウドコンピューティングなど開発中の新たな分野を対象としています。

一方、リカレント教育で学ぶ内容に指定はなく、自分のキャリアや仕事に役立つさまざまな内容を対象にできるのが特徴です。

実務に必須となる資格の取得から副業に役立つ実践的なスキルまで幅広く、個人の興味やキャリア目標に合わせて選択できます。

仕事から離れる必要性

リスキリングは、仕事から離れることなく実務と並行してスキルアップできる手法です。

一方でリカレント教育は一度仕事から離れ、学習に本腰を入れる必要があるので注意しましょう。

リカレント教育にかかる年数は1年~3年程度であることが多いですが、学ぶ内容によって変動するため自身のキャリアプランと照らし合わせて判断する必要があります。

また、リカレント教育を受けている間の収入や副業との両立なども検討し、無理のないプランにすることが大切です。

リスキリングのメリット・デメリット

リスキリングにはスキルアップが期待できる一方で、一定の努力が必要という面もあります。

ここからは、リスキリングのメリット・デメリットを解説します。

メリット①最先端技術を学べる

リスキリングはその時代において特にニーズが高まっている分野の学びを対象とすることが多く、そのときの最先端技術を学べます

今であれば、AI・DX・データサイエンス・ビッグデータ解析などのニーズが高く、需要に対し供給が不足している分野となっています。

テクノロジーの進歩が急速で、新しいスキルや知識が常に求められている昨今、リスキリングにより最先端技術を習得することは大いにメリットがあると言えるでしょう。

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自社の競争力を上げられるのはもちろん、自分の市場価値を向上できるメリットも得られますよ。

メリット②異業種・異職種で活躍できる幅が広がる

リスキリングで新しいスキルを習得できれば、異業種・異職種で活躍できる幅が広がります。

学んだことを活かして別の職種で転職したり、社内異動して理想的な働き方を追求したりできるのがポイント。

転職市場における市場価値も高まるため、給与・役職などの待遇も上がります。

「手に職つけて待遇を上げたい」「スキルが必要な仕事に就きたい」と考えている人にこそおすすめです。

デメリット①時間とノウハウが必要

リスキリングでは最先端技術を学ぶことが多く、時間とノウハウが必要です。

プログラミングやデータサイエンスなど独学での習得が難しい分野も多く、ひとりでリスキリングする場合は挫折するリスクがあるので注意しましょう。

専門のスクールや社内研修を活用するなど、短期間で効率よくスキルアップする工夫が欠かせません。

デメリット②効果がすぐに出るとは限らない

リスキリングをしたからといって、会社での待遇や働き方の改善が即座に叶うとは限りません。

まずはスキルを習得して、その後スキルが活かせる場所を探し、コツコツ実務経験を積んでいく…などある程度のステップが必要です。

時には未経験の分野に飛び込む必要が出てくるため、これまでのキャリアを考えて「効果が薄い」と感じるシーンも出てくるでしょう。

会社の業績や受注実績などが上がるのにも時間がかかるため、短期的な効果が見込めない可能性があります。

リカレント教育のメリット・デメリット

次に、リカレント教育のメリット・デメリットを解説します。

職業スキルだけでなく幅広い知識や能力を習得することを目的とするリカレント教育について、しっかりと良い点・悪い点を理解しておきましょう。

メリット①今の実務に直結する学びができる

リカレント教育は実務に役立つスキルの習得が目的であるため、今の仕事内容に直結する学びが可能です。

学んだスキルは即時に実務で使えるのでタイムロスが少なく、目に見える成果が出やすいのがポイント。

今の仕事に際して具体的な課題・悩みを抱えている人や、補完したい知識が明確にある人には特におすすめです。

メリット②効果が出るまでが早い

リカレント教育は実務の現場を一度離れ、本腰を入れて学べることから、短期集中型の学びのスタイルとして定評があります。

学びの時間をグッと短縮できること、実務に役立つスキルを学べることから、効果が出るまでの期間も短めです。

また、短期間で新しい技術やトレンドに対応できるため、職業的な競争力を保ちやすいというメリットもあります。

デメリット①一度実務を離れる必要がある

リカレント教育では短期集中型で学びに本腰を入れることから、一度実務を離れる必要があります。

例えば、大学院に進学し直す場合、残業や休日出勤も含めてフルタイムで働くのは至難の業となるでしょう。

終業後の時間を上手に活用して本業と両立させるリカレント教育もありますが、その分学びの時間が長くなるためリカレント教育のメリットを活かしにくくなります。

一度実務を離れてしまうと、キャリアの断絶や収入の低下が課題となることも多いです。

仕事をしている期間に得た人脈や職場での地位を失うことへの懸念もあり、本格的なリカレント教育を躊躇ってしまう人がいるのも現状です。

デメリット②「何を学ぶべきか」の選択が難しい

リカレント教育の場合、「実務に役立つスキルとは何か」「どんなことを学べば自分の仕事がしやすくなるか」を具体的に考える必要があります。

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既に具体的な課題があって学びたいことがはっきりしているのであれば問題ありませんが、ぼんやりとしたイメージしかないと「何を学ぶべきか」の選択が難しく感じられるでしょう。

学ぶべき内容は職種(仕事内容)・今の自分のキャリア・会社の課題によって異なるため、時代ニーズの高いことから優先的に学ぶことの多いリスキリングよりターゲットを絞りづらいのもデメリットです。

オンライントレーニング、セミナー、ワークショップなど学びの選択肢が多様化している今、自分にとって本当に必要なスキルや知識を「どう習得していくか」も課題となります。

リスキリングとリカレントどっちがおすすめ?

ここでは、リスキリングとリカレント教育どちらがおすすめか、ケース別に解説します。

今の自分の課題に合わせて選択できるよう、以下を参考にしてみましょう。

リスキリングが向いているケース

リスキリングは、以下のようなケースに向いています。

  • 仕事をしながら学び直しをしたいとき
  • 時代ニーズの高い知識をインプットしたいとき
  • 異業種・異職種に就職(転職)したいとき
  • 最先端技術を学びたいとき

リスキリングは今の仕事と並行しながらできるのが最大の特徴で、実務を離れる必要がありません。

例えば、アルバイトをしながらリスキリングしてエンジニアとして就職することも、DXやAIを学んで今の仕事のやり方を抜本的に変えることも可能です。

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同時並行で進むからこそキャリアの分断が起きにくく、業務の効率化や生産性の向上が期待できます。

リカレント教育が向いているケース

リカレント教育は、以下のようなケースに向いています。

  • 学び直しだけに集中したいとき
  • 今の仕事に直結する学びの分野がわかっているとき
  • 今の会社の休職制度が充実しているとき
  • 収入・キャリア面で余裕があるとき

リカレント教育は一度実務の現場を離れて学び直しに本腰を入れる手法であるため、「キャリア休職制度」「進学応援休暇」など休職制度が充実している会社にいる方が実現しやすくなります。

それ以外の場合、一度会社を辞めてからリカレント教育に踏み切ることになるため、収入・キャリア面での不安が出てくるでしょう。

学び直しだけに集中したいときや今の仕事に直結する学びの分野がわかっているときも、リカレント教育が向いています。

従業員のリスキリングならショーケースキャピタル

DX人材育成研修プログラム

リスキリングとリカレント教育は「学び直し」という点ではどちらも同じですが、実施主体・目的・学習内容などに違いがあります。

実務から離れる必要性にも違いがあるので、自分(自社)にとって必要な学びのスタイルを構築できるよう意識するとよいでしょう。

ショーケースキャピタルでは、「DX人材育成研修プログラム」として従業員のリスキリングを支援しています。

DX以外にも、AIを活用した業務効率化研修やSNSを活用したマーケティング戦略研修など、多様なコンテンツを準備しているのでご活用ください。

厚生労働省が提供する「人材開発支援助成金 事業展開等リスキリング支援コース」を適用して費用負担を軽くする手法などもアドバイスしているため、コストパフォーマンスよく自社のスキルレベルを上げたいときにも役立ちます。

その他、以下のような研修をすることが可能です。

  • DXリテラシー研修
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  • ディープラーニングを使ったAI活用の応用研修
  • ソーシャルメディアプラットフォーム活用研修
  • SNSリテラシー研修
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今ある課題に合わせてプログラムの内容は自由にカスタマイズできるため、お気軽にご相談ください。